競技一筋45年 第6回「<順位点>を撤廃しよう」

土田浩翔の「競技一筋45年」

 現在行われているプロ競技には<順位点>なるものが、成績に反映される評価システムになっています。

 裏ドラ・一発・槓ドラ無しというルールを主たるタイトル戦に採用しているプロ団体も、この<順位点>が反映されていますので、ここで確認しておきたいと思います。

 各団体の順位点一覧

『日本プロ麻雀連盟』

○裏ドラ・一発・槓ドラ・赤無し

○3万点持ち、3万返し

<順位点>  トップ 2着  3着  ラス

(1人浮き) +12.0 △1.0 △3.0  △8.0

(2人浮き) +8.0   +4.0 △4.0  △8.0

(3人浮き) +8.0   +3.0 +1.0 △12.0

注1) 浮きとは、3万点以上で対局終了した場合のことです。

注2) +12.0とは、素点に12,000点加算

△8.0とは、素点に8,000点減算、という意味です。

『麻将連合』

○裏ドラ・一発・槓ドラ・赤無し

○3万点持ち、3万返し

<順位点>  トップ  2着  3着  ラス

                   +12.0 +4.0 △4.0 △12.0

『最高位戦日本プロ麻雀協会』

○裏ドラ・一発・槓ドラ有り・赤無し

○3万点持ち、3万返し

<順位点>  トップ  2着  3着   ラス

       +30.0 +10.0 △10.0 △30.0

『日本プロ麻雀協会』

○裏ドラ・一発・槓ドラ有り・赤無し

○2万5千点持ち、3万返し

<順位点>  トップ  2着  3着   ラス

       +50.0 +10.0 △10.0 △30.0

『RMU』

○裏ドラ・一発・槓ドラ有り・赤無し

○3万点持ち、3万返し

<順位点>  トップ  2着  3着  ラス

       +15.0 +5.0 △5.0 △15.0

『Mリーグ』

○裏ドラ・一発・槓ドラ・赤有り

○2万5千点持ち、3万返し

<順位点>  トップ  2着   3着  ラス

       +50.0 +10.0 △10.0 △30.0

『101競技連盟』

○裏ドラ・一発・槓ドラ・赤無し

○3万点持ち

<評 価>  トップ  2着   3着   ラス

                     +1   0   0  △1

注1) 成績評価に素点を換算せず、トップとラスだけを評価の対象としています。

注2) <順位点>という概念は無く、<昇>という概念で勝敗を競っています。

 

 さて各プロ競技の概要を踏まえていただいたうえで、<順位点>の違いによるトップとラスの点差について考察していきたいと思います。( <順位点>を採用していない101競技連盟は便宜的に除外します)

 

トップとラスの点差一覧

『日本プロ麻雀連盟』16,000~20,000

『麻将連合』                         24,000

『最高位戦日本プロ麻雀協会』 60,000

『日本プロ麻雀協会』             80,000

『RMU』                              30,000

『Mリーグ』                         80,000

 

 裏ドラ・一発・槓ドラ・赤無しルールを採用している『日本プロ麻雀連盟』と『麻将連合』が、子の倍満~親の倍満差に留められています。

 裏ドラ・一発・槓ドラ有り・赤無しルールの3団体には顕著な差が見られます。

 『日本プロ麻雀協会』が、トップとラスの差が8万点と突出していますが、持ち点が他の2団体よりも少ない2万5千点スタートで終了時には3万点返しとしているため、トップに重きを置いた配分になっています。

 『Mリーグ』にも同じことが言えるわけですが、『日本プロ麻雀協会』との差は赤有りルールであることで、この違いは考えているよりも大きく、トップとラスの差が8万点でも妙に納得してしまうところがあります。

 

 『RMU』の3万点差については、創設時に多井プロ・河野(高)プロ・阿部プロ、そして古久根プロと議論を重ねた際、裏ドラ・一発・槓ドラ有りルールにおけるトップとラスの差は子の役満以内(32,000点差以内)にしておくべきという意見で一致した経緯があります。

編注)土田さんはRMUの創設メンバーの一人

 親の役満(48,000)以上の差がついてしまう<順位点>への危惧が大きかったようです。       もっとも『Mリーグ』のように、赤有りルールで、2万5千点持ち、3万返しというインフレ要素の強いルールにおいては、トップとラスの差が8万点あっても違和感はさほど無いと私は思っています。

 

 いずれにしても、プロ競技には<順位点>なるものの存在によって、選手たちも応援するファンたちも一喜一憂している現実があります。

 もっと言えば、<順位点>の存在が、競技の面白さを倍増させているのかもしれません。

 でも・・・。

 私は選手ひとりひとりの技量を測るとき、<順位点>の存在によってその技量を見えにくくしているのではないのか? そんな疑問を抱いているのです。

 

 素点と<順位点>をミックスさせたほうが多種多様な戦術や戦略が生まれ、麻雀を複雑化させていることは認めたうえで、成績評価は素点と順位率に仕分けしたほうが良いのではないかと考えています。

 打ち手の地力は素点を叩き出す能力と比例するのではないか?

 順位率に特化させると、打ち手の地力は見えにくくなるのではないか?

 素点と順位率をミックスさせると、打ち手の能力判定に歪みが生じるのではないか?

 これらの疑問を解消するには、素点の積み重ねで勝敗を決め、順位率は勝敗とは別の枠組みで表彰の対象とする。

 大胆すぎる提案になりますが、ルール問わず、素点の評価を見直す時期に来ているのではないでしょうか。