佐藤崇の第35期最高位決定戦自戦記①

~プロローグ~

―最高位―その名の通り最高位戦日本プロ麻雀協会の年間リーグ戦における最高タイトルである。

最高位戦に入会した者のほとんどは、いつの日かこの『最高位』に就くことを夢見て、各自のリーグ戦を闘い、Aリーグ入りを目指す。

Aリーグは12名。3月に開幕し、そこから半年かけて全12節、半荘48回戦を闘う。その上位3名が『最高位決定戦』進出となる。

そこに現最高位が加わりさらに全5節、半荘20回戦を闘い、その勝者が最高位の座に就く。

その道は長く、遠く、険しい。

私が入会したのは24期。晴れてAリーグ入りを果たしたのが32期。
その間、降級こそ無かったものの、たどり着くまでには実に8年の月日を要した。
憧れていたAリーグの初舞台― その初日は、間違いなく人生で最も緊張した瞬間だった。
2節目には、プロとして尊敬し目標でもあった飯田、金子両氏と同時に対戦できた。その時の身体の震えは、今でも鮮明に覚えている。

翌33期、私は最高位決定戦に進出する。当時3連覇を狙う同期の張、そして飯田、金子両雄を前にして、私は惨敗を喫する。

34期は、決定戦の負けを引きずるかのような体たらくで降級戦線をさまようが、後半盛り返し、辛くも残留。

そして迎えた35期。 最終節、これまた同期の大柳との壮絶なデッドヒートに競り勝ち、自身2度目の決定戦進出。最後の椅子を勝ち取ることができた。

共に勝ち名乗りを上げたのは村上淳、水巻渉。迎え撃つは飯田正人永世最高位。

もの凄い面子が集まった―
夢にまで見た面子が出揃った―
この人達と決定戦の舞台で闘えると思うと、嬉しくて嬉しくて仕方がない―
その時の率直な感想だった。

三つ上の村上、二つ上の水巻とは入会期においても先輩であるが、大の仲良し。十数年来、何度も酒を酌み交わし、麻雀談義に花を咲かせ、暇さえあれば研究会やセットを繰り返した。
こと麻雀理論に関しては、一歩も引かぬクソ生意気な後輩を、いつも温かく迎えてくれた。

この人達といつか『あの』舞台で闘ってみたい―今回、その夢が叶ったばかりか、もう一人が当協会最強の飯田正人永世最高位。最高位10回を始め、幾多のタイトルをその手にしてきた正真正銘の化物ジジイである。

打ち手冥利に尽きるとは、正にこの事だろう。

残れただけで、どこか喜んでいた二年前とは違う・・・今度こそ勝つ!
勝って、俺が最高位だ・・・!!

そんな強い気持ちで臨んだ35期最高位決定戦だったが、結果は3位。
最終節をトータルトップで迎えるも、DVD撮影まで入った最終日の結果は散々たるものだった。

あれから半年。今回自戦記を書かないかとお誘いを受けた時は正直戸惑った。

負けた人間の自戦記を載せてくれるなどあまり聞いたことがなかったからだ。

しかしこれも、自身の敗因を見つめ直すいい機会かもしれない―
そう思い引き受ける事にした。

過去に観戦記を書いたことはあるが、自戦記というのは初体験。
これを綴っている段階ではどんな出来か想像もつかないが、せっかくの機会なので気を使わず、好き勝手に書かせてもらおうと思っている。

あの永く苦しい、至福の時間を思い返して・・・

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