マージャン競技を考える第10回「連荘不採用②」

 今回は、連荘がない(そもそも親と子という概念が無い)MCR(Mahjong Competition Rule)というルールを紹介します。本連載の第1回でも記した様に、1998年に中国で誕生したものですが、中国各地の麻将愛好家が北京で一堂に会し、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論の末、まとめ上げたルールです。

 彼らには明確な目標があり、それは麻将をオリンピックの承認種目にするということでした。そのための第一歩として、IMSA(International Mind Sports Association)の承認種目にする必要がありました。

 ちょっと脱線しますが、マージャンがオリンピック種目!? と驚かれる読者のために説明しましょう。4年に一度のオリンピックの開催で我々がTV等で観ている競技には、フィジカルスポーツしかありませんが、実は頭脳スポーツも承認種目に入っているのです。

 その証拠に、やはり4年に一度開催されるアジア大会(Olympic Council of Asia主催)の2010年の広州大会で囲碁が正式種目となり、日本からも代表選手が出場しました。

 開会式でユニホームを着て入場行進し、ドーピング検査も受けたそうです。

 ちなみに、頭と体を切り離して考える日本は国際的には少数派で、欧米や中国では頭を使おうが体を使おうが、スポーツはスポーツという考えが主流のようです。

 

 どうやって運を解消するのか

 

 本論に戻ります。マージャンが頭脳スポーツとしてIMSAの承認を受けることが出来るのか、これが最大の難関でした。当時の承認種目は、囲碁、チェス、ドラフツ、+1種目でした。囲碁、チェス、ドラフツは完全情報ゲームであるのに対し、マージャンは牌が裏返っているため不完全情報ゲームのカテゴリーになり、完全情報ゲームのグループからは競技として認めてもらえません。

 しかし、+1種目のゲーム、コントラクトブリッジが一筋の光明でした。ブリッジもトランプ(カード)を伏せてプレイする不完全情報ゲームです。それがなぜ、競技として認められたのか?

 それは、4人一組でプレイするカードの配牌をすべて同じにしたのでした。確かに、カードの組合せはランダムではあるが、どのチームも同じ条件なので、運の要素はなく、確かに技術の比較はできると認定されたのです。

 

 これをデュプリケート方式と呼びます。

 

 それをマージャンに当てはめるとどうなるか。

・4人1チーム

 仮に4チームの戦い(チームA-1~4、チームB-1~4、チームC-1~4、チームD-1~4)として、16局分の(再現可能な)山を作ります。

東1局

①卓 東家A-1 南家B-1 西家C-1 北家D-1

②卓 東家B-2 南家C-2 西家D-2 北家A-2

③卓 東家C-3 南家D-3 西家A-3 北家B-3

④卓 東家D-4 南家A-4 西家B-4 北家C-4

 

と同じ山で戦います。

 また、ツモは自分の眼の前の山からのみツモります。

 ポンで手番を飛ばされることはあっても、ツモ牌がずれることは決してありません。

 卓内では配牌の良し悪しという運はありますが、チームとしてまとめてみると全くの同条件と言って良いのです。

 

 これで、マージャンは見事にIMSA加盟を果たし、頭脳スポーツの仲間入りをしたのでした。

 賢明な読者の皆様はもうお気づきかと思いますが、局数制でないとデュプリケート方式は成り立ちません。

 

 それが、リーチマージャンも承認種目にしようと考えている筆者が、連荘不採用を主張する2番目の理由であります。