麻雀きょうぎ 第2回 断捨離のススメ 

 麻雀っていらないもの、もしくは無くてもいいものが多いと思うんですよ。

 今回はそれを考えてみます。 

 ほとんど使われないサイコロ

 すでに消えつつあるものにサイコロがあります。これは自動配牌卓がどんどん普及していっているからです。

 全員に13牌配られ、ドラ表示牌もめくれていて開門場所を決める必要なく、サイコロの出番なし。あるとしたら場所決めのとき? いや、麻雀競技ならともかく、一般の方々は掴み取りで決めるでしょう。親決めのときにサイコロを振るかもしれませんが、現在フリー麻雀の多くは回り親(一半荘ごとに親が下家に移る)ですので、やっぱりいらないですね。

 Mリーグは発足当初より自動配牌卓を使用していました。そのほうがプレーヤーが楽というよりは、視聴者のことを考えてでしょう。配牌を取っているところより、早く次の局が観たいと思うでしょうから。

 その影響か、他の麻雀配信番組でも自動配牌卓が使われることが多くなり、日本プロ麻雀協会でも、昨年から配信卓では自動配牌となっています。

 サイコロ、麻雀用語ではサイツ(賽子)と呼びますが、歴史は古い。

 私は日本遊戯史学会という、主に賭博やゲームの歴史を研究するところの会員だった時期があるのですが、そのときの講義によると、サイコロは紀元前からあったようで、当時の地層から石や動物の骨の物が出てきたりしています。骨製の中では、鹿や羊などの中型動物のくるぶしの骨を削った物が多いそうです。大きさが手ごろで、少し削るだけで形になるからでしょう。

 しかし、現在のようにきちんとした形になったのはそれほど古くない。確率の理論が誕生したのは16~17世紀のことで、この頃にそれぞれの面を同じ面積にする――つまり正六面体が生まれたのです。

 それまではいびつな形のままで「このサイコロは2が良く出て6があまりでない」など不均等な倍率を楽しみながら賭博の道具になることが多かったようです。麻雀は賭博として行われてきた歴史がありますが、サイコロも賭博の道具の面があります。海外のカジノに行けば、クラップス、大小(タイシュウと呼ぶ。マカオのカジノで行われている)など。

 麻雀=賭博のイメージを払拭するためにもサイコロは排除したほうがいいと思います。

 積み棒不要論

 1本場、2本場……と卓上に出されていく積み棒。親番のときに邪魔臭いと思ったことありませんか?

 ときには卓の中に落ちたりして。だからでしょうか、最近の自動卓には積み場を表示するランプが付いています。やっぱり積み棒が邪魔臭いと思った人が開発したんでしょうね。しかし、どこのプロ団体もランプのみに頼って積み棒を出さないとうことはしません。ランプの押し間違いなどの不手際を危惧しているからです。局の進行中に誰かが触ることもありますからね。

 そして、その本場。だいたい1本場300点で行われていると思います。個人的な見解になりますが、この小さい数字にあまり意味を見出せません。まれにこの300点の有無がものをいうオーラスになるときもありますが、オーラスまではあまり意識されないのではないでしょうか。

 最近は1500点とするところも。東風戦のお店で多い印象です。

 積み棒が世に生まれたころは、役無しでもアガれ、ドラもリーチもない時代でした。さらにアガリ点を数える際によく「バンバン」といわれる「場の2翻」もありませんでした。そのため、子供のメンゼンピンフが240点。親で360点。(わざわざメンゼンと記したのは、当時は喰いピンフがあったから)

 ピンフの点数との比較でいえば、1本場1500点は当初に近い感覚です。どうせ積み棒を付けるならば、こちらのほうがマシなのでは? 300点にはあまり意味を感じません。

 しかし、一番いいのは積み棒を無くすこと。

 実際に積み場を排除している団体があります。麻将連合と日本麻雀101競技連盟です。

 この2団体どちらも、たとえば開局早々は「東1局その1」で、親が1回連荘すれば「東1局その2」以降、「その3」「その4」と連荘が終わるまで数えます。積み棒を採用していないので○本場という数え方はしません。純粋にアガリ点を競う観点から余計なものを排除しているのです。

 もうひとつ、卓上に転がっている邪魔者(?)がありますね。供託棒です。

 「えっ、供託棒をなくすってリーチ棒をなくすってこと? リーチはかけられないの?」

と思われるかもしれませんが、いえ、ちがいます。リーチはもちろんかけられます。

 ただし、アガった人が貰えるとか、流局したら供託棒として卓上に置かれたままとかにはならない。リーチをかけるときはリーチ料として「支払う」のです。リーチをかけた本人がアガっても戻ってきません。(編集部注:第5期ピンチェリーグはこのルールを採用していた)

 具体的には、リーチをかける人がリーチ宣言をし、立会人に千点棒を渡す。あるいはサイドテーブルに置かれた、豚の貯金箱でもなんでもいいですが、簡単に取り出せない専用の箱にポトンと落とし入れればいいのです。保険金の用語で言うなら「掛け捨て」というわけです。

 「のみ」といわれる1300点リーチなどは安易にはかけ辛くなって(アガっても300点のプラスにしかならない)、リーチの重みが増し、勝負にコクがでると思います。また、局の途中で条件が変わる(リーチ棒が出たために5200点条件の人が3900点OKになる等)ようなことがなくなり、競技性が増すというか、少なくとも逃げ切ろうとする人は余計なことを考えずにすみます。難点は千点棒がどんどん少なくなって両替が大変になりかねないことぐらいかな?

 積み棒も供託棒も無くして、卓上をすっきりさせるこの案、どうでしょう。